日常の診療で見かける受診の多い疾患について、当院としての考え方を簡単にご案内いたします。
子どもの
診療
感染症(かぜ症候群)
はなみず、せき、下痢、嘔吐、発熱などを主症状とするウイルス性感染症です。
日常生活に差し支えない程度の症状であれば、治療不要です。
症状が強く日常生活に差し支えるような場合には、それぞれの症状に対する治療薬(対症療法)を使用して治療します。特殊な疾患を除き、ウイルスを殺す薬はありませんから、自分の免疫活動でウイルスの活動を抑えて病気を治します。つまり、治療薬は体内での免疫活動がスムーズに行えるようにサポートするものです。
当院では扁桃炎や中耳炎、肺炎などの細菌感染症の合併を疑わなければ抗生剤を使用しません。安易に抗生剤を使用すると、抗生剤が効かない『耐性菌』が出現するため、将来、本当に抗生剤が必要になったときに役に立たなくなってしまうからです。
便通異常(便秘)
腸管の動きや機能が未熟であるため、乳幼児が便通のトラブルがよくみられます。
乳児期前半の、軟便で排便間隔が長いケースや、乳児期後半から学童にかけて、硬便で排便間隔が長く排便時に肛門が切れてしまうケースなどが多くみられます。これにより、食欲低下や頻回な腹痛がおこり、夜間眠れなかったり集団生活が妨げられたりの症状が出がちです。また、トイレでの排便がうまくいかず、オムツがなかなか取れないなどの弊害もみられがちです。
当院では、『つらくない排便習慣』を目指した治療を行い、排便後のスッキリ感が得られ、排便が楽しい時間になることを目標に治療します。
鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎
かぜによる鼻閉や鼻汁、せきなどの症状が長引くと、副鼻腔炎や中耳炎を起こしてしまうことがあります。
特に子どもたちは免疫力が十分でなく、鼻や耳の構造が細菌による膿を溜めやすいため、発熱が長引いた場合には必ずこれらの疾患を念頭に置いて診察いたします。発熱の原因が細菌感染かどうかは血液を検査するだけで、ある程度予測することができます。この場合の採血量は1滴で十分です。この検査で細菌による疾患が疑われた場合には、必要十分な抗生剤を使用して治療します。
ぜんそく(気管支喘息)
アレルギー体質や感染症(特にRSウイルス感染など)が引き金となって気管支に炎症を起こし、ゼーゼーいう呼吸音(喘鳴)を伴う咳が強く出ることがあります。特に、子どもたちは気管支の直径が細いため、かぜ症状に喘鳴を伴いがちです。ゼーゼーのすべてが『ぜんそく』ではありませんが、治療として気管支を広げる薬剤や気管支の炎症を治療する吸入薬が有効であることも多いです。
当院では、貸し出し用の吸入器を用意し、自宅での喘鳴のある咳の治療に使用しております。
喘鳴を繰り返す子どもたちも、年齢とともに喘鳴が消えていくことが多く、また、喘鳴のあるすべての子どもたち全員に治療が必要な訳ではありません。
喘息の子どもに対して、当院では、日本小児アレルギー学会のガイドラインに準拠した治療や管理を心がけております。また、年長の子どもや成人に対しては、呼吸機能検査を実施しながらの管理も行っています。
アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、急性湿疹(乳児湿疹)
近年、乳幼児を含む子どもの食物アレルギーが、大きな社会的問題になっております。食物摂取に伴うアナフィラキシー(ショック)症状や、食物が原因のかゆみを伴う皮膚炎(いわゆるアトピー性皮膚炎)などについて、症状や血液検査などを参考にしながら治療、予防します。
皮膚症状の強い子どもについては、かゆみを軽くすることを主眼に置いて管理いたします。湿疹(皮膚炎)については、年齢とともに改善が認められる子どもも多いため、その時々の皮膚症状を治療するだけでなく、かゆみを抑えて日常生活を快適に過ごせるように対応を考えます。
夜尿症
生まれて2歳頃までは毎晩おねしょをしますが、その割合は年齢とともに減っていきます。2~3歳児ではその1/2~1/3、4歳児では1/4の子どもが おねしょをしています。5、6歳で約15%、小学校低学年で約10%、小学校高学年でも約5%にみられます。12歳を過ぎると、その多くは消失していきます が、成人になっても夜尿がみられる場合があります(0.1~0.3%程度)。【夜尿症ナビより】
夜尿は、放置しておいてもいずれ治る確率の高い状態ですから、必ずしも治療が必要とは考えておりません。ただし、本人が「何とかおねしょを治したい。」と強い希望を持っている場合には、薬や日常生活を管理することによって治るまでの期間を短くすることもできます。
起立性調節障害(思春期の不調)
思春期にさしかかると、大人の体に変わっていくための変化が心や身体に出現し始めます。症状は、朝なかなか起きられない、繰り返す頭痛や腹痛、身体のだるさなどですが、午後から夜になると症状が軽くなるため本人の辛さが理解されず、ただの『なまけ病』と思われてしまうことも少なくありません。このような症状があり日常生活に支障がある場合に起立性調節障害と診断されることがあります。中学生の約1割が起立性調節障害だとも言われています。
当院ではこれらの症状に対する治療を行い、心身ともに辛くない生活が出来るように取り組んでいます。
その他にも…
子どもに関して気になること、心配なこと、どうしたら良いかわからないことなどがありましたら、遠慮なくご相談ください。
当院で直接解決できなくても、ご家族の皆さんと一緒に考えて解決に向かう道を探したいと考えております。解決に向けての知識をご提供するだけではなく、関連する専門機関との連携や具体的な手続きなど、お役に立てることがあるかもしれません。ひとりで抱え込まず、まずは相談してください。
健 診
院内での健診はもちろん、登別市との連携により、乳幼児健診や保育所健診にも積極的に参加しております。
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
感染症
予防
小児科はその科の性質上、感染症(流行する病気)が多く集まるという特徴があります。
当院では、できるだけ院内での感染拡大を予防するため、アルコールによる手指消毒や環境清拭を行い、換気や加湿に加え次亜塩素酸噴霧や空気清浄機による感染対策も行っております。
また、感染源となりそうな病気の子どもが受診した場合には、診察まで別室でお待ちいただくようにしております。感染を受けやすい生後間もない赤ちゃんたちは、診察まで他の場所でお待ちいただくように配慮しています。
また、院内での待ち時間を短くするための予約システム(アイチケット)を導入しております。これにより、診察や予防接種などの受診において、院内の滞在時間をできるだけ短時間にできるよう工夫しました。
詳しくは予約システムについてをご覧ください。
成人の診療
妊娠中の方、授乳中のお母さんの診療
妊娠中、授乳中にも安全に投与できる薬はあります。
妊娠中は妊娠の週数に応じて投薬できる薬剤は変わりますが、使える薬は存在します。必要に応じて産科医と連絡を取りながら対応することも可能です。体調不良の際にはご相談ください。
また、授乳中でも安全に使用できる薬剤はたくさん存在します。
お母さんが元気でないとお子さんの健康にも影響してしまいます。育児疲れや風邪ぎみなど、親身に対応いたしますのでどんなことでも相談してください。必要に応じて専門の科への紹介も行います。
成人に対する診療、予防接種、健診、感染症予防など
当院では、成人に対する診療も受け付けております。特に病気の子どもがいるために、医療機関を受診しにくいお母さん・お父さんやおばあちゃん・おじいちゃんなどの診察、投薬も行います。また、慢性に経過する症状には、漢方薬による治療も行っておりますのでご相談ください。
また、お父さんお母さんはじめ、ご家族みなさんに安心して予防接種を受けていただけるように、接種時間帯やワクチンの種類、料金等について配慮いたしました。
予防接種についてはこちら